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自ら学び、生活に生かす書写教育
研究テーマについて

 21世紀を迎え、IT革命の必要性が提唱されている。それと同時に、パソコンや携帯電話等の普及により、子どもたちの文字を書く機会が少なくなっており、文字の乱れや、文字を正しくていねいに書こうという意欲も減退している傾向にある。 
 言葉を書いたり使ったりすることは、お互いの人間関係を豊かにするものであり、国際社会にあっても、日本語を正しく整えて書くことは、日本の文化である日本語を大切にすることにつながるものである。
 今、「心の教育」の充実が求められている。生涯にわたって、文字や言葉を大切にし、
互いの思いを適切に伝え合うことを通して、現代社会において希薄になりがちな人間関係を深めていくことが大切である。
 そこで、県習教では、今までの研究テーマである、「自ら学び、書く楽しさや喜びを味わう書写教育」を基盤に、平成13年度からのテーマを「自ら学び、生活に生かす書写教育」と設定した。
 学習の課題を、学校や地域等の日常生活の中にも多く見い出し、自ら課題をもち,その課題に向かって自分なりの解決の方法で取り組み、文字を正しく整えて書くという基礎基本を十分ふまえながら課題解決をし、学習活動を進めていきたい。そして、子どもたちが、その学習によって得た知識や技能を日常化したり自分の生活に生かしたりし、子どもたちの「生きる力」、そして人と人とのつながりをもった豊かな心を育てていきたい。
<学習指導要領について>
●学習指導要領の歴史
はじめに
 現在の学習指導要領には、小学校の国語科書写については、「毛筆書写は、第3学年以上の各学年で行い、各学年年間35単位時間程度を配当する」と書写指導時間時数を今までの2倍近く強化して明記し、「硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導する」と位置付けられて、毛筆書写の意義を明確に打ち出しており、書写を重要視していることがわかる
戦後の書写教育の流れ<小学校>
戦前 全学年独立した芸能科習字として実施
戦後 昭和22年学習指導要領 「米国教育使節団報告書」のよる指導
自由研究の時間に希望者があれば書道として指導(正式科目からは削除)
昭和26年 第1次改定 毛筆による書写を「習字」 硬筆により書写を「書き方
昭和34年 第2次改定 毛筆による「書写」とて明記(小学校の書写は選択制)
 「4年生以上の適宜の学年で課することができるが、年間35時間を超えてはならない」
昭和44年 第3次改定 第3学年以上で必修化
昭和53年 第4次改定 国語科の目標や領域構成の大幅な改定により、小学校の「書写」は[言語事項]として位置付け
平成元年にいたる

●新学習指導要領

<目標>
 国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。
<改善の基本方針>
 書写の指導については、文字を正しく整えて生活に役立つ書写の力を育成するため指導の在り方の改善を図る。
<各学年の目標>
〔第1学年及び第2学年〕
 (ア) 姿勢や用具の持ち方を正しくして丁寧に書くこと。
 (イ) 点画の長短、接し方や交わり方などに注意して、筆順に従って文字を正しく書くこと。  

〔第3学年及び第4学年〕
 (ア) 文字の組み立て方に注意して、文字の形を整えて書くこと。
 (イ) 文字の大きさや配列に注意して書くこと。
 (ウ) 毛筆を使用して、点画の筆使いや文字の組み立て方に注意しながら、文字の形を整えて書くこと。

〔第5学年及び第6学年〕
 (ア) 文字の形、大きさ、配列などを理解して、読みやすく書くこと。
 (イ) 毛筆を使用して、点画の筆使いや文字の組み立て方を理解しながら、文字の形を整えて書くこと。
 (ウ) 毛筆を使用して、字配りよく書くこと。

<内容の取り扱い>
 毛筆を使用する書写の指導は、第3学年以上の各学年で行い、硬筆による書写の能力の基礎を養うように指導し、文字を正しく整えて書くことができるようにすること。
 また、各学年年間30単位時間程度とすること。なお、硬筆についても、毛筆との関連を図りながら、特に取り上げて指導するよう配慮すること。
* 文字は、日常生活の知識や情報を記録したりや伝達したりする役割を果たすもの。
 記録や伝達の機能を十分果たすためには、文字を正しく、読みやすく書くことが大切である。

学習指導要領における書写の位置付け

新しい学力観に立つ書写指導

  1. 書写指導のねらいとその位置付け
  2. 毛筆と硬筆の関連を図った指導計画
  3. 評価

新しい学力観に立った指導のあり方

4つのポイント

  1. 基礎・基本の徹底
  2. 主体的に取り組める学習指導の工夫 → 『生きる力』の育成
  3. 日常の書写力の向上
  4. 個が生きる評価

小学校「国語科」 新・旧学習指導要領の比較

旧学習指導要領
 国語を正確に理解し適切に表現する能力を育てるとともに、思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。
新学習指導要領
 国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力及び言語感覚を養い、国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。

◇小学校国語科の「目標」の改善の要点 

  • 言葉で伝え合う力の育成を重視する。
  • 基礎的な言語能力の育成、特に、論理的に意見を述べる能力、適切に表現する能力、的確に読みとる能力、読書に親しむ態度を育てることを重視する。
A 表現
B 表現[言語事項]
A 話すこと・聞くこと
B 書くこと
C 読むこと
◇小学校国語科の「内容」の改善の要点
  • 目標や内容を2学年まとめて示す。
◆書写の指導に関する事項
○「書くこと」の領域において、手紙を書いたり、記録や報告を書く等の活動を進んで取り入れる。
○漢字の指導については、読みは基本的に現行どおりとし、書きは次の学年までに時間をかけて指導するようにする。
○「文字を正しく整えて生活に役立つ書写の力」を育成するため指導の在り方の改善を図る。
○授業時数 現行35時間 → 30時間

平成20年1月17日 中央教育審議会答申より 学習指導要領改訂について 最新版